人工知能やディープラーニングという言葉を耳にすることが多くなった現代では、あらゆるシーンでプログラミング技術が活用されています。2020年より小学校でのプログラミング学習の必修化も決定しており、今後は「プログラミングができて当たり前」という時代に突入してゆくでしょう。
今回は、そんなプログラミングの原点となるC言語の基礎知識や活用シーン、学習方法について紹介します。
プログラミングをするなら知っておきたいC言語とは?
現代のプログラミングではさまざまな言語が使用されていますが、その中で特に長い歴史を持っているのがC言語です。まずは、その基礎からチェックしていきましょう。
C言語とは?
C言語は、1972年にAT&Tベル研究所のブライアン・カーニハン氏と、デニス・リッチー氏によって開発されたプログラミング用語です。コンパイル型の汎用プログラミング言語ですので、書いたコードを動作させるためにはコンパイル(コードを機械が理解できる文字に変換すること)をする必要があります。
このC言語は数あるプログラミング言語の中でも古い言語なため、C言語の仕組みを応用している言語も数多く存在します。そのため、プログラミングを学ぶ際には「入門言語」として学習されることが多いのですが、実は習得難易度は高めです。エラーやバグが発生した際は高度な知識が要求されますので、あまり初心者向けとはいえません。
C言語の特徴
C言語の特徴としては、まずコードを動作させるためにコンパイルが必要になることから、CPUやメモリといったコンピュータのハードウェアを意識して取り扱う必要があります。ですが、プラットフォームに依存しない設計になっているので対応できる機器の幅が広く、コンピュータはもちろん、自動車や家電、スーパーコンピュータといったさまざまな機器で使用することが可能です。
また、多数の言語がC言語の影響を受けていますから、「C言語を習得した人はスキルチェンジがしやすい」ともいわれており、学習する人が非常に多いのも特徴です。
C++やC#との違い
C言語と同じ「C」がつく言語で「C++」や「C#」がありますが、それぞれ違った特徴を持っていますので紹介していきます。
・C++(シープラスプラス)
C++は、1983年にC言語を拡張して開発されたプログラミング言語です。
具体的には、C言語にオブジェクト指向(プログラミングでモノを作成して操作するという考え方)や拡張機能が加わっており、C言語よりも効率的にプログラミングができます。
ただ、その分、言語の仕様が複雑になっているため、習得の難易度はやはり高めといえるでしょう。C言語と互換性があることから、ソフトウェアの開発などで一緒に使われることも多いです。
・C#(シーシャープ)
C#は、2000年にマイクロソフト社によって開発されたプログラミング言語で、C++とJavaの便利な機能を組み合わせた、C言語とは全く別の言語となっています。
C#の構文は、どちらかというとC++に似ているのですが、実際にはC言語やC++よりも複雑な制限・改良が加えられており、厳格なプログラミングが必要ないというのが特徴です。また、Javaの良い部分も取り入れているため、ゲームやアプリケーションを作るのに最適だといえるでしょう。
しかし、C言語やC++との互換性はなく、同時に使用することはできません。
C言語でできること
C言語は比較的古いプログラミング言語となりますが、その高い信頼性と実績から、現代でも幅広いシーンで利用されています。
組み込み機器の開発
組み込み機器というのは、いわゆる家電製品やロボット、電子機器と呼ばれるもので、C言語ではこれらの製品に組み込まれるソフトウェアを開発することができます。
私たちの家庭にある電子レンジや炊飯器、洗濯機などの内部にはC言語で作られたソフトウェアが入っていて、これによって自動で作動する設定になっているのです。
制御システムの開発
制御システムというのは、あらゆるデータが流れてくる中で必要なデータだけを取り入れるというシステムのことです。これは、自宅にあるルータをイメージするとわかりやすいでしょう。
こういった制御システムは金融機関や医療機関、製造業といったさまざまな分野で取り入れられていて、C言語やC++で制作されています。
また、C言語は古い言語でもあるため、多くのシステムの基になっているのです。
ソフトウェア、OSの開発
C言語は、パソコンやスマートフォンを動かすために必要となるOSや、ネットワーク技術を支える主要なソフトウェアを作る際にも使用されています。OSというのは、いわゆるWindowsやMac、Linuxと呼ばれるもので、スマートフォンでいえばAndroidやiOSにあたります。
つまり、私たちが普段当たり前に使っているものの多くはC言語でできているといえるのです。
C言語の学習方法
C言語は初心者が習得するにはやや難しいプログラミング言語です。しかし、自分に合った学習方法を選ぶことで、より効率的に学ぶことができるでしょう。
入門サイトで学習する
現代は、どんな情報もインターネットで調べることができる時代です。そのため、C言語についてもインターネットを使って費用をかけずに学習することができます。
実際、C言語の入門サイトというのは多く存在していて、無料にもかかわらず解説文付きの講座形式の動画で学習できますので、費用を抑えたい人や空いた時間に学習したいという人に最適だといえるでしょう。
書籍で勉強する
C言語学習の書籍というのも非常に多く、書店やインターネットで気軽に購入することができます。書籍での学習は体系立てられた知識を習得できるほか、自分が見やすい参考書を選べるという利点もあります。
重要な部分に気兼ねなく印をつけることもできるので、基礎からしっかりと学びたい人に向いているでしょう。
ワークショップに参加する
近年ではC言語の勉強会やセミナー、ワークショップなども頻繁に開催されていて、勉強の仕方がわからないという初心者からプロ並みの実力者まで、自分のレベルに合わせて参加することができます。
こういった場所では、プログラミングの最新技術を学ぶ講座や体験会などもあり、自宅学習で行き詰ってしまった人におすすめです。費用も無料~1,000円程と低価格なものが多いので、手軽に学べる場となっています。
プログラミング教室に通う
C言語を本格的に学びたいという場合は、やはりプログラミング教室に通うのが最も効率的だといえます。
それなりに費用はかかりますが、C言語は数ある言語の中でも学習難易度が高く、初心者が独学で習得するには相当な努力が必要でしょう。その点、教室であればわからないことをその場で聞くことができますし、担当講師が自分に合った学習方法を教えてくれるので、短時間で効率良く学習を進められます。
C言語の習得はプログラミングを制する
C言語は他のプログラミング言語に比べて古い言語であると同時に、コンピュータの深層部分を制御できる数少ない言語でもあります。そのため、C言語の習得にはそれなりの苦労が伴いますが、C言語が習得できればプログラミングにおいて怖いものはないといえます。
また、C言語を学習することでコンピュータの仕組みも習得できますので、プログラミング言語を学ぶのであれば、ぜひC言語にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。