早期教育を受けた子供のその後は?健全な成長のために親ができること

閃いているベレー帽少女

脳が柔軟な幼少期に合わせてはじめられる早期教育。子供の成長は早期教育の内容や、はじめるタイミングによって左右されます。今回は、早期教育の概要と、受けた子供のその後について、また早期教育のポイントをご説明します。

子供の能力を育てるための早期教育とは

教育は、はじめる年齢が低いほど効果があるとされます。その観点で最近注目を集めるのが、早期教育です。

早期教育とは

早期教育とは、幼少期の子供に特別な教育を施すこと。ほとんどの場合、子供の意思とは関係なく、親の意向ではじめられます。人間の脳は、0~3歳児くらいまでがもっとも柔軟性があり、知識の吸収もよいといわれます。その特性に着目して、なるべくはやい段階で語学や算数などを覚えさせるのが狙いです。

小さいときから英語や算数などに触れ、学ぶ喜びを体験することで、成長後も学習意欲を継続しやすくなります。それと同時に、思考力や創造力が鍛えられ、さまざまな分野に興味を持ちやすくなるでしょう。

早期教育は主に、小学校入学前の幼児が対象です。中には、胎児や乳児の段階ではじめる「超早期教育」もあります。

さまざまな早期教育

記憶力を鍛える

記憶力を鍛える学習方法として用いられるのが、「フラッシュカード」です。カード1枚を子供に見せ、数字や漢字、地図情報、絵画の特徴などを覚えさせるというもの。見せる時間は、わずか1秒。この練習を繰り返すことで、脳が刺激されて記憶力の向上が期待できます。

外国語を学ぶ

言語は、幼少期のうちに学ぶのがもっとも理想です。英語の教科書や漫画、アニメ、絵本などが周りにあふれる環境で生活すれば、自然と英単語や英会話を覚えるようになるでしょう。
まず、耳で覚えさせる方法が有効です。外国語の音楽を聴かせたり、歌わせたりする学習方法であれば、楽しみながら言語を学ぶことができます。
外国語を習得させる一方で、日本語の使い方がおろそかになってはけません。ひらがな・カタカナ・漢字などの文字の基本はもちろん、適切な言葉遣いも丁寧に教えるようにしましょう。

運動神経を高める

運動は、全身を動かせるスイミングが早期教育で有効とされます。
スイミングは、腕・足・腰など体の重要な機能を動かすトレーニングになるため、バランス感覚が身に着きます。
ボールを追いかけながら走り回るサッカーも、基礎体力が付いて体が強くなります。それだけでなく、チームプレーも重視されるため、学校に入る前の社会訓練として最適です。

リズム感覚を養う

リズム感覚を養う目的で行われる教育が、バレエやダンスなどです。また、複数の動きを同時にするピアノも、リズム感を鍛えるうえで最適。両方の指を動かしながら楽譜を読んだり、メロディを耳で確認したりするため、音感トレーニングにもなります。

早期教育を受けた子供のその後とは

早期教育は、子供のペースに合わせて適切に行えば、大きな学習効果を生みます。その一方で、勉強ばかりさせると逆効果になる点に注意しなければなりません。

適切な早期教育を受けた子供のその後

学校教育に先んじて計算や文字学習をはじめたことで、授業の理解も進む傾向がみられます。語学の面では基本的な英会話レベルはおろか、ネイティブレベルまで上達しているケースも。ピアノやバレエ、ダンスなどを特技に持つことも可能です。スイミングやサッカーなどの運動を通して、身体能力の発達も期待できます。

小さいときは、頭も柔らかくて何事も興味・好奇心を持ちやすいもの。親が子供の興味を引き出すかたちで一緒に目標に向かって取り組めば、発育によい影響を及ぼします。

行き過ぎた早期教育を受けた子供のその後

あまりにも早期教育に力を入れすぎると、心身や周囲との関係性、学力などの面でマイナスとなります。以下の点に注意してください。

● 勉強ばかり夢中になり、クラスで浮いてしまう
● 勉強ができる優越感で、周囲を見下してしまう
● 周囲とコミュニケーションが取れず、引きこもってしまう
● 自分よりすぐれた生徒が現れると挫折感を覚えたり、モチベーションを保てなくなったりする
● 思春期に入って勉強疲れを起こしてしまう

行き過ぎた早期教育で反対に勉強嫌いになれば、ほかの子供より勉強しなくなり、結果的に学力低下を招く可能性もあります。

早期教育を行うときのポイント

早期教育では、心の発達も大切。子供の好奇心や成長ペースも考えながら進めてください。

心の発達を優先する

早期教育は、知能を育てることばかりが目的ではありません。むしろ、IQを高める教育に重点を置くと、膨大な量の学習時間に頼ることになります。それでは子供の心身は疲れるばかりですので、IQ重視でなくもっと広い視野で子供の成長を考えましょう。

感受性やコミュニケーション能力など、幼少期に伸びる部分はたくさんあります。音楽や絵画、映画の鑑賞を勧めることで、感受性も豊かになって芸術分野での特技が生まれるかもしれません。また、勉強ばかりでなく、友達と遊ばせたりスポーツの試合に参加させたりすることで、コミュニケーション能力が育まれます。このような学習環境が、心の発育につながるのです。

「勉強ばかりする」生活は、心身の健康上、よくありません。子供は何も言わなくても大きな疲れやストレスを抱え込んでいる可能性があります。折りをみてやさしい言葉をかけたり、スキンシップを楽しんだりすることが、親の役目です。

子供の成長に合わせる

勉強は、はやくはじめればいい、というものでもないのです。はやい時期にあれもこれも、と気持ちばかり焦って押しつけると、好きだった勉強も嫌いになってしまいます。また、あまりにも難易度の高い分野は幼少期教育にふさわしくありません。子供の気持ちや成長ペースに合わせながら学習計画を立てることが大切です。

幼児期には幼児期にふさわしい教育、児童期には児童期にふさわしい教育があります。子供の成長に合わせて内容を選択する配慮も、親に求められます。

子供の好奇心を優先する

早期教育の理想は、子供の好きな分野を学ばせること。「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるように、人は好きなものには熱中しやすく、進んで学ぼうとします。「特に好きなものはない」というのであれば、子供の好奇心を育む環境を整えてあげればよいのです。

そのためには、子供が興味を持ちそうなものを近くにおいてあげましょう。ピアノやハーモニカ、将棋、囲碁、サッカーボール、プログラミング教材など、たくさんそろえていろいろな分野から選択できる環境を用意してあげましょう。その中から何を選ぶかは、子供次第です。好きなものだから楽しく学習できますし、心の発育や感受性にもよい影響となります。

無理強いしない

「うちの子供を将来オリンピックの選手にしたい」と思って無理矢理フィギュアスケートを習わせても、子供が好きでなければそれは単に「押しつけ」となります。親の興味と子供の興味は、イコールではありません。無理強いしてしまうと、それが子供の成長に悪影響を及ぼすことも。子供は人格を持った立派な人間。我が子の性格や気持ちをぜひ尊重してあげてください。

何を優先して学ぶか、親子の間で話し合う中で決めるという方法もあります。その中でコミュニケーション能力も育まれるでしょう。子供が好きで選んだ道を、親が全力でサポートするという関係性を大事にしてください。

早期教育の主役は子供。親ではない

何かを学ぶのは、子供であって親ではありません。それを続けるかどうかの判断も、子供に任せましょう。親の意向ではじめた早期教育でも、子供の自主性を優先するのが一番です。勉強を進める中で、親子間のコミュニケーションは欠かさず行いましょう。スキンシップや声がけも大切です。子供が無理なく楽しみながら勉強できる環境を整えることが、親の仕事であり、責任でもあります。

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