幼児期に勉強を始めるメリットとは?習慣づけるコツと学習方法

アルファベットで遊ぶ女の子

テレビや雑誌などで、小学校に上がる前からひらがなや漢字の読み書きができる子供、さらには英語も自在に操る子供を目にしたことがあるのではないでしょうか。そうした事例を見ると、「自分の子供にも早くやらせなければ」と焦ってしまいがちです。

しかし、大事なことは、子供の健やかな成長です。そのために幼児期からの勉強がどう役立つのか、何をさせればよいのかを保護者が自分なりに理解していることが必要不可欠です。自分の中で一本筋の通った考え方がないと、周囲に焦らされてしまうだけです。

今回の記事では、幼児期の勉強に関する基礎的な知識を提供します。

幼児期に勉強を始めるメリットと注意点

小さい頃から勉強を始めることは、本当によいことなのでしょうか。メリットと注意点をともに理解しておくことが重要です。

幼児期に勉強を始めるメリット

よく「子供の吸収力は高い」「○歳までに脳の□%は完成する」などといった雑誌やインターネットの記事を目にするかもしれません。確かに、子育てをしていて子供の知的能力の発達が早いことに感心させられる保護者も多いのではないでしょうか。

幼児期に勉強を開始すると、そんな成長の早い子供の脳に刺激を与えられます。集中力や記憶力、思考力などを鍛えられることが期待できるでしょう。また、読み書きや足し算・引き算、時計の読み方など小学校で習う内容を先取りして理解すれば、親子双方が余裕を持って小学校生活を送れるようになるでしょう。

幼児教育を受けていた子供が、成長してからも学力や思考力などを伸ばせるかどうかについては、はっきりとしたデータがあるわけではありません。しかし、小学校入学前に学習の習慣を身につけさせることや、先取り学習をすることで子供の学校生活がよくなるのであれば、それこそが幼児期に勉強を始める最大のメリットといえるのではないでしょうか。

早期教育の注意点

一方で、早期から子供に勉強させることには懸念もあります。保護者の立場からすれば、「小さい頃から勉強を無理強いして悪い影響が出たらどうしよう」と不安を覚えるかもしれません。

早期教育を行う際には、 当然ながら、幼児期の勉強を子供が自主的に取り組めること、楽しめることが大前提となります。無理に知識を詰め込もうとしても、かえって勉強嫌いになるリスクがあります。慎重に学習習慣を身につけさせる必要があるでしょう。今では知育のおもちゃやアプリもたくさん出ていますから、そうしたものを利用して子供が自主的に取り組む「遊び」も大事にしてください。

最低でも、嫌がることは無理強いしないのが無難です。仮に親御さんが「○○の知識は絶対に後で役に立つから」と思って無理に勉強をさせても、子供がやる気をなくしてしまってはよいとはいえないでしょう 。もちろん、将来のことを考えると、子供の好きなことばかりを勉強させるわけにはいきません 。しかし、小学校入学前の時点で勉強が嫌いになってしまうリスクと、その時点で好きなことしか勉強しないリスクを天秤にかければ、自ずと結論は出てきます。

また、周りの子供と競争させない、比べないことも意識しましょう。確かに、自分の子供よりできるように見える子が気になってしまうかもしれません。しかし 大人が「あの子より劣っている」と感じたり、さらにはそうしたことを子供に話したりすると自己肯定感を下げかねません。

幼児期の勉強を習慣づけるコツ

幼児期に学習習慣 がつけば、小学校以降に「勉強しなさい!」と叱る回数が減ると考える人もいるでしょう。どうすれば、幼いうちに 習慣づけができるのでしょうか。

遊びと勉強を結びつける

まずは遊び感覚で勉強を開始することです。保護者が子供の頃に勉強嫌いだった場合 、つい「勉強=嫌いでも無理矢理やらなければいけない」という感覚が身体の底に染みついてしまいます。 その感覚で子供に勉強をさせると、勉強を遊び感覚でやらせるのに罪悪感さえ覚えてしまうかもしれません。しかし、勉強に対して変な先入観を持っていない子供に対しては、勉強に対するハードルを下げて「楽しい」と感じさせることが大切です。勉強の内容そのものより、勉強に対する感覚の構築を意識しましょう。

遊びの中でも、子供の知的好奇心をくすぐるような遊びを取り入れるのがベストです。「どうなっているの?」「知りたい!」という純粋な気持ち、物事に対する興味や関心をかきたてる教材やおもちゃなどを用意してあげるとよいでしょう。

それでは、どうやって遊びと勉強を結びつけるのでしょうか。そのためには、「知育玩具」「知育アプリ」などと呼ばれるアイテムを活用するのがおすすめです。特に知育玩具については、子供向けのおもちゃコーナーで数多く販売されています。子供を連れて行って、気に入ったものを選ばせるとよいでしょう。アプリについては事前に吟味するのが難しいので、ある程度試行錯誤を繰り返して気に入ったものだけ残すとよいでしょう。

文字や数のドリルやプリントもたくさん存在します。こうしたドリルも、遊びの感覚でできるようデザインの楽しげなもの、子供の気に入ったものを選んであげるようにしましょう。

子供が勉強を楽しめる環境をつくる

習慣づけには、家庭での環境づくりも重要です。小さな机など、普段の遊びとは異なる「子供の勉強専用スペース」を用意してあげましょう。確かに遊びの延長線上に勉強があるので、特にそうしたスペースを設けなくても取り組んでくれるかもしれません。しかし、小学1年生になったら、少なくとも学校では机で学習するようになることを踏まえると、机に座る練習のために勉強スペースを用意してあげるとよいでしょう。

そうした勉強専用スペースで楽しく勉強できれば、習慣づけをしやすくなります。オフィスに来れば自然と仕事をする気になる大人と同じようなもので、「ここに座るときは勉強するとき」という意識が自然と出てくるため、集中力も身につきます。

楽しく勉強できるペースを守る

意識と環境ができたら、後は無理のないペースを見出すステップに入ります。未就学児の段階で算数や国語などを何時間も勉強する必要はありません。子供の性格や集中力にもよりますが、一般的には親子で一緒に楽しんで取り組める程度のペースにするのが一番です。

目標は「勉強習慣の構築」ですから、毎日少しずつでもよいのです。1日につき教材1ページでも、15分でも、絵本1冊でもよいので、継続を意識しましょう。子供は気まぐれですから、今日は楽しくやってくれても明日は嫌がるかもしれません。そうした場合も無理強いすることなく、子供の気持ちが落ち着いてからやらせてみるなど、柔軟に対応しましょう。

幼児期におすすめの学習方法

記憶力・表現力・思考力の3つの点から、おすすめの学習方法を考えたいと思います。「あれもこれも・・・・・・」と手を広げず、絞り込んで取り組ませる 必要があります。

記憶力 を育てる

「考える力が必要」とされる昨今ですが、記憶力がその根幹をなすことは変わりません。記憶力を育てるアイテムとしてよく用いられているのが、トランプの神経衰弱のようなカード教材です。「フラッシュカード」と呼ばれるカードを使用して、文字や数字を教えることが幼児教育でも行われています。

また四字熟語や詩歌の暗唱、ひいてはアニメや特撮のキャラクターの暗唱なども効果があるとされています。遊びの要領で取り組めば、丸暗記も楽しめるものです。

表現力を育てる

記憶力が物事をインプットする能力とすれば、表現力は物事をアウトプットする能力といえます。言葉や身体を使って多様なアウトプットの方法を習得すると、子供の発達的にも精神衛生的にもよい影響があると考えられます。

表現力を育てる学習方法は多種多様です。幼児段階では、語彙が少ないだけに言葉で表現するのはまだ難しいでしょう。したがって、幼いうちは 家庭でブロック遊びや積み木遊びをさせたり、ピアノや工作に取り組ませたりすることが考えられます。

思考力を育てる

インプットとアウトプットをつなぐのが、思考力です。

思考力を身につけるのにうってつけなのが、実はプログラミング教育です。プログラミングをやっていると、必ずエラーが発生します。そうしたときには、自分で対応しなければいけません 。「問題発生→原因究明→解決」という一連の手順を繰り返すことで、問題解決のための思考力が鍛えられます。

また「条件Aなら・・・・・・」「条件Aでなければ・・・・・・」「条件Aのうち、さらにBであれば・・・・・・」のように、条件分岐や段取り(流れ)を考える習慣がつくのもプログラミング教育のメリットです。

プログラミングで身につく能力については、「これからのプログラミング教育について 」を参考にしてください。また、思考力については、「子供に必要な考える力とは?思考力を鍛えるために親ができること 」を参考にしてください。

幼児期の勉強は焦らず楽しくコツコツと

育児雑誌や周りの保護者仲間などと比較してしまい 、つい焦っていろいろな勉強を子供にやらせたくなります。しかし、幼児期の勉強で大事なことは保護者も子供も楽しめることでしょう。保護者に余裕がないと、子供も気づくものです。

その点で、保護者が焦らないこと、楽しく続けられることが重要となります。まずは幼児期から勉強させるメリットとデメリットを理解し、冷静にやらせることを絞って少しずつ取り組ませるようにしてあげましょう。

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