2020年のプログラミング必修化によって子供たちの教育は大きく変わる見込みです。先立って、子供たちにプログラミングを学習させ始める家庭も目立っています。そんな中、注目され始めたのが「ジュニアプログラミング検定」という資格試験です。こちらでは本試験の概要や受験のメリット、勉強法などについてお話します。
ジュニアプログラミング検定の概要
子供たちがプログラミングに触れ、好奇心を向上させるきっかけとして普及しているジュニアプログラミング検定。まずは、その概要についておさらいしておきましょう。
ジュニアプログラミング検定とは、プログラミングを学ぶ小中学生を対象とした資格試験です。子供たちのプログラミング的思考力を評価し、さらに上の段階に挑戦する意識の促進を目的としています。2020年のプログラミング必修化にともなって注目されるようになった資格です。
試験には、「Scratch」という子供向けのプログラミングソフトが使用されます。Scratchは、専用のプログラミング言語によってキャラクターが動くなど、子供たちが楽しみながらプログラミング言語を学べるような工夫が施されたソフトです。プログラミングのツールとしては簡素なものですが、基本的な考え方は学べます。
ジュニアプログラミング検定には4つのレベルが設けられています。プログラミングにおいては基本的な内容ではありますが、正式な検定試験です。それぞれ合格すると認定証が提供されます。子供たちにとってもプログラミングの達成感が得られる試験として人気となっており、2018年現在、300カ所を超える会場で実施されています。
ジュニアプログラミング検定の難易度
ジュニアプログラミング検定は「Gold(1級)」「Silver(2級)」「Bronze(3級)」「Entry(4級)」という4つのレベルに分けられています。それぞれ、合格となる基準は「得点率60%以上」です。各課題で点を獲得するためには条件を満たすプログラムを作成しなければなりません。その条件をクリアしつつ、さらに自由なアイデアを盛り込むと加点対象となります。各レベルの難易度について詳しくお話しましょう。
Gold(1級)
・複数の条件を理解し、論理的に思考する能力を持っている。
・複数の条件分岐や演算、入れ子構造(ネスト)のスクリプトを活用した複雑なプログラムを作成できる。
Silver(2級)
・基本的な条件を理解できる。
・複数の条件分岐や入れ子構造(ネスト)を活用して簡単なプログラムを作成できる。
Bronze(3級)
・条件や筋道の一部を理解できる。
・条件分岐や繰り返し(ループ)などの簡単なスクリプトを用いてプログラムを作成できる。
Entry(4級)
・プログラミング学習を始めたばかりの子供たち向けの問題が出題される。
・合否判定はなく、受験費用は無料。
ジュニアプログラミング検定を受験するメリット
ジュニアプログラミング検定を実際に受験した子供たちの保護者の方からは、以下のような点が受験のメリットとして評価されているようです。
段階的にプログラミングを学べる
プログラミングツールとして使うScratchは極めてシンプルなツールです。さらにEntryのレベルは課題も簡単であり、子供にプログラミングに関する基本を身に着けさせ、興味を芽生えさせるきっかけとして利用できます。難易度のレベルが設定されており、段階的にプログラミングを学ぶことが可能です。プログラミングの教育は多くの子供に求められている一方で、少しでもつまずくとその後のステップに進みづらくなってしまう側面を有しています。4段階に分けられており、少しずつ理解を深められる点はジュニアプログラミング検定を受験するひとつのメリットと言えるでしょう。
プログラミング学習のモチベーションが上がる
闇雲に進める勉強ではなく、各レベルの合格という目標が定まっているため、子供たちのモチベーションが向上します。子供によっては、ジュニアプログラミング検定に向けた勉強をきっかけにプログラミングを好きになる場合もあるようです。合格した子供が本格的にプログラマーを目指すようになった例もあります。
子供が積極的にプログラミングに挑むきっかけになる
ジュニアプログラミング検定の課題には、特定の答えが用意されているわけではありません。条件さえクリアしていれば、子供たちの創意工夫しだいで点数が加算されます。「答えはひとつではない」と知ることは、子供たちが積極的にプログラミングに挑むきっかけになるでしょう。
「自分が作成したプログラムが動くこと」自体に楽しさ見出す子供もいます。また、受験勉強のために通う教室などで会う仲間と考えをシェアする楽しさを知って、めきめきとプログラミングを上達させる子供もいるようです。
ジュニアプログラミング検定の勉強法
実際にジュニアプログラミング検定を受験する場合、どのように勉強を進めればよいのでしょうか。一般的な勉強法を以下にご紹介します。
公式テキストで勉強する
ジュニアプログラミング検定にはテキストがありませんでしたが、2018年に公式テキストが発表されました。Scratchの基本と、各レベルに対応する内容が網羅されています。ゲームを作成する課題の紹介や、漢字にふられた読み仮名など、子供たち自身が読み進められる工夫も万全です。
公式の資料ということで信頼性は高く、このテキストだけ利用すれば合格が約束されるわけではありませんが、個人で学習する場合は第一選択となる方法と言えるでしょう。
プログラミング教室で例題を出してもらう
子供をプログラミング教室に参加させ、例題を出してもらう勉強法もあります。受験予定のレベルに合わせ、担当講師に例題を作成してもらいましょう。テキストではカバーしきれなかった疑問点もその場で解消できます。また、講師からより適切なプログラム例を提示してもらうことも可能です。
また、同じようにプログラム学習のために集まる子供たちとの出会いは、モチベーション向上の刺激になるかもしれません。特にジュニアプログラミング検定で加点対象となる創意工夫の視点を身に着けるためには、こうした刺激を受けることが好ましいでしょう。子供自身に意欲があれば、ジュニアプログラミング検定のレベルを超えたプログラミングを学ぶこともできます。
子供たちのプログラミング知識を育て興味を芽生えさせるために
2020年以降、プログラミングが必修化されると、子供たちはプログラミングの知識で評価されるようになります。必修化の背景にはプログラムに長けた人材に対するニーズの高まりがあるため、学生時代に勉強を重ねておけば社会における活躍の場も広くなるでしょう。子供が小さいときからプログラミングを学習させておくのは、決して過剰な教育ではありません。論理的思考は、将来プログラマーを志望しないとしても役に立つはずです。
ジュニアプログラミング検定は、段階的に少しずつプログラミングへの理解を深められる資格試験です。それまでプログラミング勉強の経験がないお子様も、まずはEntryレベルの受験からスタートしてみてはいかがでしょうか。