プログラミングに使用するプログラミング言語には、多くの種類が存在します。ITの現場ではシステムの用途に応じてプログラミング言語が使用されていますが、子供にはどの言語を勉強させればよいのでしょうか? こちらではプログラミング言語の初歩的な知識や、各言語の特徴について解説します 。子供に学ばせるプログラミング言語を決めかねている方は参考にしてください。
プログラミング言語の基礎知識
まずは、プログラミング言語の概要や成り立ちなど、基礎知識について知っておきましょう。
プログラミング言語とは
プログラミング言語とは、人間がコンピュータに指示を与えるための「言語」です。地球上に存在する多くの人種は、それぞれの言語でコミュニケーションをとっています。同じように、人間とコンピュータがコミュニケーションをとる際も共通の言語が必要です。プログラミング言語は、人間とコンピュータがやりとりするための共通言語として生まれた概念です。
言語といっても、人間が普段使っている言語とは少し異なり、コンピュータが理解できる文字列で構成されています。プログラミング言語によって作成されたコンピュータへの「指示書」を「プログラム」と呼びます。また、プログラムを作成する職業は「プログラマー」と呼ばれ、アプリ開発やシステム開発の中心的な役割です。
産業用のロボットなどは、あらかじめ作成されたプログラムの命令をもとに動作します。また、私たちが普段パソコンやスマートフォンで当たり前のように使っているソフトウェア・アプリにも、複雑なデータ処理を行うプログラムが組み込まれています。
プログラミング言語の進化
「プログラミング=機械に命令すること」という概念の起源は、20世紀初頭に行われていた「パンチカード」によるデータ処理にさかのぼります。パンチカードとは、穴が空けられた厚い紙の媒体です。穴の有無を物理的に読み取ることで、命令を認識していました。このパンチカードが、現在のプログラミング言語の役割を果たしていたことになります。
1940年代からはコンピュータの開発が開始されました。1952年には、上述したパンチカードの考え方を基礎とした、世界初の高級言語「FORTRAN」が誕生しています。1970年代には現在も使用されているプログラミング言語の多くが生まれました。
再び新しいプログラミング言語の誕生に拍車がかかったのは、1990年代です。これは、インターネットの爆発的普及によりシステムのニーズが高まり、多様なシステムが求められるようになったためでした。現在も用途に応じて新しい言語が次々と生まれており、その数はすでに200を超えていると考えられています。
プログラミング言語の数が多い理由
「なぜそこまで多くのプログラミング言語が存在しているのか?」と疑問を抱く方も多いかもしれません。プログラミング言語の数が多い理由についてお話します。
用途によって使用する言語が異なる
それぞれのプログラミング言語は、得意分野が異なります。大規模なシステム構築、膨大なデータのスピーディーな処理など、目的や用途、求めるパフォーマンスに応じて異なる言語が使われているのです。すでに開発された多くの言語も、ニーズの多様化や既存言語の改良によって生まれています。
OSによっても使る言語が異なる
プログラミング言語を開発・使用する上で絶対的な成約となるのが「OS」です。OSとは「オペレーティング・システム」の略称であり、コンピュータのハードウェア管理や制御を担います。Windows、Linux、Mac OS、iOS、AndroidなどさまざまなOSがありますが、それぞれの仕組みはまったく異なるため、使用できる言語も違う場合が多いのです。新しいOSの誕生に伴い、自然とプログラミング言語も増えていったという背景があります。
プログラミング言語の種類と特徴
現在主流のプログラミング言語から7つをピックアップし、それぞれの特徴をご紹介しましょう。
Java
Javaは世界的に使用されているプログラマーに人気の言語です。OSに依存しない汎用性の高さが特徴であり、動く環境を考えるストレスがないことから、多くの現場で使用されています。Webアプリやスマートフォンのアプリなど、アプリの開発で用いられることが多い言語です。
JavaScript
JavaScriptはWeb開発やアプリ開発で使われることが多い言語のひとつです。上述したJavaと名前は似ていますが、まったく異なるプログラミング言語です。ポップアップの表示、画像を動かすなど動的な表現に優れていることから、とりわけホームページ作成で用いられています。また、習得を簡単にする工夫が施された「スクリプト言語」であり、コンピュータの仕組みに関する知識がなくても扱えるのが特徴です。
C
C言語は1972年に開発された比較的長い歴史を持つプログラミング言語です。現在も使われている言語の中では非常に機械的な性質を有しており、システムの開発には時間がかかります。また、習得が難しいと考えられており、初心者向けの言語ではありません。一方で、C++、C#など多くの言語の基となっているため、先にC言語について勉強しておくと他の言語の習得が早いかもしれません。
Ruby
Rubyは日本人が開発した初のプログラミング言語です。高いカスタマイズ性とシンプルさを併せ持っていることから、世界の熟練プログラマーに高く評価されています。SNSや、メディアサイトなどWebサービスで使用されることが多い言語です。
Swift
SwiftはAppleが開発したプログラミング言語です。Appleデバイスのアプリ開発に使用されています。最も大きな特徴は記述するコードの少なさであり、このことからスピーディーに動作します。一方で、iOS、Mac OS以外のOSでは使用できないため、プログラミング言語としてのシェアはそれほど大きくありません。
Python
PythonはWebアプリ、デスクトップアプリの開発で使用されることが多いプログラミング言語です。近年では、人工知能、機械学習など専門性が高い分野でも使用されています。できることの幅広さの一方で、文法のシンプルさが特徴です。未経験者でも比較的に取り組みやすい言語として認識されています。
PHP
PHPはスクリプト言語のひとつです。Web開発においてスタンダードな言語であるHTMLに埋め込むことができるので、Webにかかわる方にとってはなじみの深い言語となっています。現在広く普及しているホームページ作成システムのWordPressでも、PHPが採用されています。他のスクリプト言語と同様、プログラミング経験が浅い方にとってもわかりやすく、システムを作成しやすいのが特徴です。
まずは習得しやすいものから
プログラミング言語はそれぞれ用途や習得の難易度が違います。その一方で、「コンピュータに命令を与える」という概念は同じです。最初から子供を難しい言語の勉強に挑戦させても挫折してしまうかもしれません。ひとつの言語で学んだことは別の言語を学ぶようになっても無駄になりませんし、子供が学習する段階ではIT市場でのニーズを強く意識する必要もないでしょう。まずは、習得が簡単な言語から勉強を始め、プログラミングへの興味を育んではいかがでしょうか。