システムエンジニアになるには?仕事内容と将来性、求められる能力

スーツ姿でガッツポーズの手

小学校でもプログラミング教育が必修化されることになり、情報技術(IT)への教育的関心が高まっています。プログラミング教室に子供を通わせるべきか、考えている保護者の方も多いでしょう。一方で、「システムエンジニアになるには何を学べばいいのかよく分からない」と感じる人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、システムエンジニアになるにはどんな能力や勉強が必要なのかご説明します。また、システムエンジニアとしての仕事内容やその将来性についてもお伝えします。

システムエンジニアの仕事内容と将来性

システムエンジニアの具体的な仕事内容についてご説明します。また、今の子供が成人する2020年代以降にシステムエンジニアが存在するのか考えます。

システムエンジニアとは?

そもそも「エンジニア」とは、プログラミングやコンピューターの世界に限らずエンジニアリング(工学)に関する専門知識を有する人材のことです。IT、化学、医学などさまざまな業界でエンジニアと呼ばれる職業の人々が活躍しています。IT業界に限っても、サーバーエンジニアやインフラエンジニア、ネットワークエンジニア、データベースエンジニアなどがあります。

そのなかでもシステムエンジニアとは、IT関連の職種でコンピューターシステムを開発・運用する職業のことです。プログラミング技術を用いてシステムの開発や設計を行うことはもちろん、顧客の要求に応じたシステムを提案したり、プロジェクトの予算や進捗管理などといったプロジェクトマネジメント業務を手がけたりすることもあります。実際に手を動かして開発する業務を「下流工程」、設計からシステム提案・要件定義のような業務を「上流工程」と呼びます。

なお、システムエンジニアと似た職種に「プログラマー」がいます。プログラマーは、システムエンジニアよりもプログラミングに特化した仕事を行うのが一般的です。多くの企業では、システムエンジニアの設計に基づいてプログラマーがプログラミングを行います。また提案や要件定義、プロジェクトマネジメントなど上流工程に特化した職種を「ITコンサルタント」などと呼んで区別するケースも少なくありません。

システムエンジニアの将来性

結論から言えば、システムエンジニアの将来は明るいです。現在でも求人ニーズは高く、将来的にもさらに高くなる可能性があります。

その理由は、IT分野における人手不足の深刻化です。経済産業省の調査によると、2015年時点でIT人材は約17万人不足していると言われています。これが2030年になると、約41万人から79万人にまで膨れ上がると推計されているのです。この背景には、IT社会の高度化によってIT人材へのニーズが大きくなる一方で、若年人口の減少によって供給が増えないことがあります。

以上を踏まえると、スキルを確実に身に付けたシステムエンジニアは企業から引っ張りだこになり、好待遇で就職できる可能性が高いです。

【出典】
IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果~報告書概要版~」(経済産業省)p.7

システムエンジニアになるには

未経験者でもシステムエンジニアとしての就職はできますが、その後で苦労します。ここでは、就職前に知識やスキルを身に付ける方法を3つご紹介します。

教育機関で専門知識を習得する

情報処理について学べる高専(高等専門学校)、専門学校、大学などへ入学するのが一般的な方法です。システム開発のために必要な専門知識を学べますし、必要な資格取得のための講座や費用補助などのサポートを用意しているケースもあります。

また、就職活動を有利に運べる可能性があります。企業によっては特定の学校とのつながりがあり、その学校の卒業生から一定の人数の採用を行っているところもあるためです。優良企業を学校から紹介してもらい、短期間で効率よく就職活動できるかもしれません。

その一方で、実践的なスキルが身に付くとは限りません。ビジネスのスピードと研究機関のスピードはやや異なるので、企業で即戦力として活躍するために必要なプログラミング言語や知識を学べないことが多いのです。受け身で学ぶことなく、ビジネスで必要とされるスキルについて情報収集を続け、必要であれば独学で別途勉強するだけの気概が求められるでしょう。

プログラミング教室に通う

わざわざ学校へ入るまでもなく、町中にあるプログラミング教室を利用する手があります。こうした教室に数ヵ月間通うだけでも、システムエンジニアが身に付けているべきシステム開発の技術を学ぶことはできます。

プログラミング教室では、目的に合わせて学習コースを選択できることが多いです。言語別・レベル別のプログラミングコースやロボット工学のコースなど、社会のニーズに合うようなコースが設けられているはずです。

プログラミング関連のコンテストへの出場サポートをしてくれる教室もあります。コンテストには企業も注目していて、好成績を収めると就職のオファーが来るかもしれません。

資格を取得する

システムエンジニアになるために、教師や医師のような国家資格が必須となるわけではありません。しかし、IT関連の資格を取得し、自分の知識を証明する手もあります。初心者向けならITパスポートや基本情報技術者などがありますし、専門分野に特化するならデータベーススペシャリストやネットワークスペシャリストなどがあります。また、上流工程のスキルを身に付けるなら、ITストラテジストやプロジェクトマネージャなどの資格があります。

教育機関やプログラミング教室などへ通った経験を持たない人でも、上記のような情報処理関連の資格を持っていると専門性を対外的に示せます。結果として、システムエンジニアになるのに有利となるでしょう。

また、就職後に自分のキャリアの方向性を定めるうえでも資格の取得は有効です。将来的に上流工程へ携わりたいのであれば、プロジェクトマネージャの勉強をして会社にアピールするのがおすすめです。

システムエンジニアに求められる能力

システムエンジニアには、情報システムに関する専門知識に加えて「ソフトスキル」が求められます。ここでは、どの企業でも必要とされる能力を3つご紹介します。

プログラミング能力

当然ながら、プログラミング能力は必要です。システムに用いられているプログラミング言語の特徴やコーディングルールなどを正しく理解している必要があります。プログラミング言語と言っても、JavaやC言語、PHP、Ruby、Pythonなど多岐にわたりますから、何を学ぶか最初は絞り込んだ方がよいでしょう。

システムエンジニアのなかにはプログラム開発を直接行わない立場の人もいます。この場合でも、プログラミング言語に関する知識は必要不可欠です。プログラマーに分かりやすい設計を行い、プログラマーとスムーズにコミュニケーションを取るためにも、プログラミング言語の知識は大切なポイントです。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力もシステムエンジニアには必要不可欠です。システムエンジニアはシステムやプログラムに向き合う個人的な仕事と見られることもありますが、実際には周囲の人と連携する必要があります。むしろ協働作業を多く含む仕事なのです。

システム開発一つとっても、設計やスケジュールなどについてリーダーやマネージャなどに確認を取って進める必要があります。開発の途中で技術的な課題やスケジュール上の課題が出てきたら、他のシステムエンジニアやリーダーなどと話し合って解決しなければなりません。そしてもちろん、クライアントにヒアリングした要件をシステムの形に落とし込む必要があります。いずれの業務も、コミュニケーション能力抜きには成立しないのです。

周囲とスムーズに連携して仕事をするために必要なコミュニケーション内容を考えるようにすれば、実務経験とともに身に付けられるはずです。これが身に付くと、システムエンジニアとしてのレベルもアップしますし、年収アップも期待できます。

マネジメント能力

マネジメント能力はコミュニケーション能力の一種とも言えますが、自分だけではなくプロジェクト全体を見渡して意志決定できるような能力にあたります。役割の範囲が大きくなるにつれ、システム開発だけにとどまらず納品やスケジュール管理、予算管理、進捗管理などプロジェクト全体をまとめる能力の重要性が高まってきます。

プロジェクトを円滑に進めるために、チームを先導する必要があります。メンバーに対する適切な質量の仕事の割り振り、モチベーション管理、クライアントや会社の上層部に対する報告など、ただ開発や設計だけを見ていればよかったときとは明らかに異なる役割が求められるわけです。

マネジメント能力も一朝一夕には身に付きません。そのため、メンバーとしてプロジェクトに携わっているときから、マネージャの動きを見てプロジェクト全体の統括に何が必要か考える習慣を持ちましょう。こうした習慣がないと、いざマネージャを任されたときに全体最適のための動きができず混乱します。また、プロジェクトマネジメントに関する書籍や資格試験なども有効です。

将来のキャリアアップを見据えて、プロジェクト全体を見る目を養ってください。

システムエンジニアとしてのスキルは広く役に立つ

ITが社会の隅々にまで行き渡った現代において、IT知識はいわゆるIT企業のみならずあらゆる業界において必要不可欠となっています。

システムエンジニアに必要なプログラミングの知識やソフトスキルについても、必ずしもシステムエンジニアだけに求められるものではないのかもしれません。システムエンジニアを目指していなくても、プログラミング知識がキャリアアップや転職活動に役立つ可能性があります。その意味で、子供にプログラミングを学ばせておくと将来の可能性を大きく広げるメリットがあるでしょう。

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