子供の食育の重要性とは?食への関心を高めるために親ができること

いただきますをしている少女

小さいときから食への興味と関心を持つことで、子供たちは食べることの大切さを覚えます。食育で親が子供に対してできることは、食事のマナーを教育することから家族そろっての食事、料理教室への参加などさまざまです。今回は、食育が子供の成長に与える影響について考えてみます。

子供の食育の目的と重要性

子供たちに対する食育は、食事の大切さを認識させ、健康について自分たちの頭でしっかり考えさせる目的で行われます。日本の食生活の変化やマナーなど、身に着く力を考えてみましょう。

日本の食生活の変化

日本人の食生活は、明治以降、大きく変わったといわれます。海外からさまざまな食材が入り、食料市場や食べ物の好みにも大きな影響を与えました。

欧米を中心とする海外から入ってきた食材のうち、日本人の食生活をもっとも変えたのが、肉類です。肉食の習慣がなかった日本人は、その美味の虜になり、牛肉や豚肉など肉類中心の食生活を送る人が増えました。現代人の偏食傾向による健康不安は、明治以降の食生活の変化によってもたらされたと言っても、過言ではありません。

生活リズムの乱れや暴飲暴食、「個食」「孤食」というワードが象徴する家族間会話の減少など、現代の食を巡っては、さまざまな問題が指摘されます。裏を返せば「食」は、人間の健康や成長、生活に大きく影響する重要なテーマといえるのです。

食生活の習慣やマナーを身に着ける

食育は習慣やマナーを育成する際に、非常に効果的です。

箸や茶碗の正しい持ち方から、毎食必ず、「いただきます」や「ごちそうさま」を言うなど、食に対して礼節を持つことを習慣にすると、普段の生活にも礼儀を重んじる心が芽生えます。

また、食材に対しても、粗末に扱わないよう、「大切にいただく」という意識がつくと、好き嫌いの数が減り、偏食を防ぐきっかけになります。

自分で食を選択できる力を養う

どんな食材も、栄養素を持っています。肉や魚、卵などの「赤」系統の食材は、血や肉をつくります。米やパン、イモ類などの「黄」系統の食材は、人間活動のもとになるエネルギーを生み出します。野菜や果物、キノコ類などの「緑」系統の食材は、体の調子を整えるための役割を果たします。

食育では、食材の特徴やそこに含まれる栄養素について、子供に覚えさせ、自分たちで選択できるよう教育しましょう。正しい知識と判断によって、子供たちは健康について自分の頭で考えられるようになるのです。

子供の食育のために親ができること

食への関心を子供に持ってもらうための取り組みとして、以下の方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

買い物に一緒に行く

毎日の買い物にお子さんを連れて行きましょう。子供たちがスーパーや八百屋の食品売場を見学することで、野菜や果物、豆類など栄養価の高い食材について学ぶ機会が得られます。最初に子供に食材を選ばせてみるのもよいかもしれません。子供は自分の頭でどの食材がよいか考え、判断しようとします。情報や知識の習得だけでなく、食を通して考える力も養われるのです。

売場には、市場の変化や旬の食材、値段の動きなどの情報もあります。習慣的に食品売場に触れることで、大人になって役立つ知識も学ぶことができます。

食事の準備や片付けを手伝ってもらう

子供に食事の準備や片付けを手伝ってもらうことも、食育になります。野菜を洗ったり、皮を剥いたりの準備作業や、切った後の保管方法、冷蔵庫の温度は何度が適温かなど、野菜や肉類を扱う中で貴重な情報を得ることができます。それらの作業を通して親子間でコミュニケーションが生まれると同時に、毎日食事を作るお母さん・お父さんの苦労も分かるようになるのです。

子供が食材を扱うことで、食に対する興味はどんどん広がることが期待できます。たとえば、食べ物はさまざまなプロセスを経て食卓に運ばれるということも、そのような環境の中で学べるでしょう。生産者に対する感謝の気持ちを持たせることも、食育では重要です。

家族で食事をする

食事は、家族みんなで摂るのが理想です。同じ時間を共有することで、コミュニケーションが生まれ、家族の関係も密なものになります。好きな食べ物や興味のある食材について話し合うのもよいでしょう。一家団欒の時間は貴重であり、その場を提供するうえで理想なのが食事の時間。好き嫌いなど子供の食に対する傾向も、この時間を通して得られることが少なくありません。

話すテーマについては、食に限定する必要はなく、子供の悩みや疑問などに答える時間として使うのも効果的です。さまざまなことを話し合って、家族みんなで有意義な時間を持ちましょう。

食育イベントに参加し、子供の食への関心を高める

●子供向け料理教室
料理教室を通して料理の楽しさを学ぶとともに、家で作る食事にも興味を持ってもらう機会となります。共同作業の時間を持つことでコミュニケーション能力の向上にもつながるでしょう。親子向けの料理教室も開かれているため、機会があれば参加してみてください。
●果物狩り
果物狩り体験によって、新鮮な食材への関心が高まります。りんごやぶどう、さくらんぼなどがどのように育てられているのかを知る機会になりますし、収穫の楽しさを味わう貴重な体験を得られます。
●農業・漁業体験
都会育ちの子供であれば、農業・漁業を体験する機会はめったにないでしょう。新鮮な空気と緑の大地、広い海などの大自然を体感できるとともに、命について、食べ物について、実体験を通して学べます。苗植えから稲刈り、食事まで体験できるイベントもあるため、時間を作って親子で参加してみてはいかがでしょうか。

子供の食育におすすめの食育絵本

子供の食育に活用できるおすすめの絵本を4冊ご紹介します。どれも食や生き物への感謝の気持ちにあふれる作品。ぜひ手に取ってみてください。

「いただきまあす」作:わなたべしげお/絵:おおともやすお/出版社:株式会社福音館書店

小さなクマが、一生懸命食事を摂ろうとする姿を温かくユーモラスに描いた絵本です。よだれかけを身に着け、ナイフとフォークを持つクマくんと食卓に並べられたメニューが味わい深いタッチで描かれています。1ページごとに1行のセリフと、クマくんの食事風景のみというシンプルな構成だけに、子供でも分かりやすく、なおかつ楽しんで読み進められます。読み聞かせ本としても最良の一冊です。

「やさい もぐもぐ」作・絵:ふくざわゆみこ/出版社:ひかりのくに株式会社

トマトやキャベツ、カボチャにとうもろこしといった色とりどりの野菜があふれている絵本です。野菜たちが調理され、いろいろな料理に変化して食卓へと運ばれます。野菜の切り口もリアルに描かれ、見応えある描写が並びます。野菜の知識を学ぶ一冊としても最適。何より、どの野菜もおいしそうで食欲をそそられるでしょう。野菜が苦手な子供も、この絵本をきっかけに野菜が食べられるようになるかもしれません。

「げんききゅうしょくいただきます!」作・絵:つちだよしはる/出版社:株式会社童心社

子供たちのために給食を作るおじいちゃん・おばあちゃんの姿を描いた絵本です。新鮮な野菜をもとに作られた“げんききゅうしょく”をいただく子供たち。「いただきまーす!」という元気なあいさつとともに、愛情あふれる手料理が小さな口の中に運び込まれていきます。おいしそうに食べる子供たちの姿はとても明るく、すこやかです。食べることの喜びと、感謝の気持ちが伝わる一冊です。

「しんでくれた」作:谷川俊太郎/絵:塚本やすし/出版社:株式会社佼成出版社

谷川俊太郎の詩から生まれた絵本です。元となったフレーズは、「うし しんでくれた ぼくのために そいではんばーぐになった ありがとう うし」この刺激的なタイトルが意味するところは、「私たちの命は、別の命によって支えられている」ということ。人間は、生き物の命によって生きている。その真理を理解することで、食べ物への感謝の気持ちが生まれるのです。深いテーマの世界観を、シンプルなフレーズとやさしいタッチのイラストで表現しています。食育の一冊として、ぜひ親子一緒にお読みください。

食事は、成長の基本

「食育」を通して、子供は食材や生き物に対する感謝の気持ちを持つようになります。日常生活の中で特別意識する機会を持てないテーマなだけに、親がしっかりプロデュースする取り組みが大切です。親子で参加できる料理教室や、野菜の収穫・農作業が体験できるイベントへの参加も、食育につながるでしょう。また、食べることの根源的な意味を教えてくれる絵本もあります。食育に生かせるコンテンツは豊富にそろっていますので、子供の成長のためにぜひご利用ください。

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