小学生の学年別勉強法|子供の学力を伸ばすために親ができること

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小学生になったら、どれくらい、どうやって勉強すればよいのでしょうか。子供も保護者も、学校に慣れないで不安を抱えているケースは少なくありません。

そこで、小学校の低学年・中学年・高学年別におすすめの勉強法をご説明します。また、子供の進級に応じて、保護者がどのように接すればいいのかについてもお話しします。不安を解消して学校と勉強に臨みましょう。

小学校に通う子供の勉強時間はどれくらい?

小学生に必要な勉強時間を検討するのに、まずは全体の平均値を知ることが参考になります。文部科学省の資料をもとに、勉強時間の捻出方法をお伝えします。

小学生の平均的な勉強時間

小学生の家庭学習時間の長さは、ばらつきが大きくなっています。

国立教育政策研究所が平成26(2014)年に実施した「全国学力・学習状況調査」のアンケートによると、小学6年生で平日1日当たりの学校の授業以外での勉強時間が1時間未満であると答えた割合が全体の4割近くに及んでいます。それに対して1時間以上、2時間より少ない児童が36.0%、2時間以上の児童が26.2%となっています。

また休日の勉強時間についても、同様の質問を行っています。1時間未満と回答したのが43.6%に達し、そのうち「全くしない」が10.5%です。1時間以上、2時間より少ない児童は31.7%、2時間以上勉強している層が24.5%となっています。

こうしてみると、勉強している児童は平日も休日も変わらず勉強していることが分かります。学習塾や通信教育などの影響が推測されますが、全体の4分の1ほどは毎日2時間以上勉強しているのです。一方で、1時間未満の層も平日・休日同じように4割程度いることから、「勉強しない層」「勉強する層」が固定的に分かれているという推論が成り立つのです。

平均的な勉強時間としては、だいたい「1時間以上、2時間より少ない」辺りとなるでしょう。ただし、勉強時間の格差の大きさを踏まえて、自分の子供に必要な勉強時間を検討する必要があります。

子供の勉強時間をつくる方法

そもそも子供の放課後の時間は、だいたい4~6時間程度と考えられます。午後3時ごろに帰宅し、夜9~10時ごろに就寝するのが平均的な生活習慣だとすると、そのうち夕食や風呂などの時間を除いて最大6時間ほどの時間があるわけです。この時間のうちどれくらい勉強時間に充てられるかが課題となります。

また、早寝早起きを習慣づければ早朝にも勉強時間を捻出できます。朝6時過ぎに起床して8時前に登校するなら、その間に30分から1時間ほどは勉強できる可能性があります。朝は脳も身体もリフレッシュされているため、読書をしたり、ちょっとした問題を解いたりすることはできるはずです。

このように夕食前後や早朝の時間をうまく過ごせれば、勉強時間を捻出できます。もちろん夜の苦手な子、朝の苦手な子もいますので、子供の性格や体調に合わせてスケジュールを調整するべきでしょう。できれば子供と話し合い、納得できる勉強時間や勉強法を決めることが大切です。

【出典】「小学校の教育課程に関する基礎資料」(文部科学省)

小学生の勉強法【低学年・中学年・高学年】

子供の発達段階に応じて、ベストの勉強法は異なると考えられます。小学生を低学年・中学年・高学年に分けて、それぞれに合った勉強法のポイントをお伝えします。

小学校低学年の勉強法

小学校低学年(1~2年生)の段階における最大の課題は、学習習慣を身に付けてもらうことです。もちろん中学年や高学年になってからでもよいのですが、早めに子供なりの勉強方法を見出すことで勉強量が増加してからの負担感が変わってきます。やることが増えても自分のペースを崩さずに勉強を続けられると、精神的に苦痛ではないのです。

まず考えられるのは、勉強する時間帯を固定することです。子供の生活パターンを考慮して、夕食の前や後などに設けます。時間の長さは、30分程度でよいでしょう。長く勉強させることよりも、毎日勉強する習慣をつけさせることが優先です。ノートに学習日記をつけさせて、毎日どんなことを勉強したのか記録するのもおすすめです。

学習習慣を身に付けさせるために、勉強するときの「型」を決めてしまうとよいでしょう。特に、勉強する場所をダイニングテーブルや自分の部屋といったふうに固定すると、勉強に対する抵抗感が少なくなります。低学年のうちは、保護者の目が届くダイニングテーブルの方が無難です。

勉強内容としては、それほど神経質に選別する必要はありません。あえて言えば言葉をたくさん覚える時期にあるため、幅広く文章に触れる機会を設けるようにしましょう。国語だけでなく、算数の文章題でも文章読解は必須です。

子供を勉強好きにさせるポイントについては、「子供が勉強をやる気になる! 学びへの意欲を引き出すポイントとは?」も参考になります。

小学校中学年の勉強法

小学校中学年(3~4年生)になると、理科や社会など科目が分化して勉強の種類が増えてきます。子供によっては情報量の多さに混乱するケースもありますので、なおさら早い段階で学習習慣を固めておきたいところです。低学年の段階で固めるのがベストですが、中学年でも遅きに失したというわけではありません。

この頃になると、子供が自分で物事を調べたり勉強したりできるようになります。博物館や美術館に連れていったり、地球儀や望遠鏡などのアイテムをプレゼントしたりと、子供の興味や関心を育む試みができるとよいでしょう。

中学受験をさせるなら、そろそろ塾通いを検討する時期に入ります。学習塾のカリキュラムをパンフレットやホームページなどでチェックすると、だいたい4年生ごろから本格的に受験を意識した授業を始めていることが分かります。ある程度学力や学習習慣が身に付いているなら、塾通いを開始しても急激に負担を感じるリスクは少ないでしょう。中学受験や塾通いについては、「子供に中学受験はさせるべき?受験のメリットと親にできること」もご参照ください。

塾通いをすると環境が変わるため、保護者のサポートが重要となります。よくあるのが、「学校だと成績トップだったのに塾だと平均以下で、自信を失ってしまう」というケースです。結果だけでなくプロセスを褒めてあげることや、他人と比べて子供を評価しないことなどを意識しましょう。

小学校高学年の勉強法

小学校高学年(5~6年生)になると、ある程度論理を理解できるようになります。文章の中の論理だけではなく、出来事の因果関係も含まれます。硬い文章を読み慣れていない子供の場合は、新聞やWebメディアの記事を読む練習がおすすめです。

またテストの結果は、論理を考えさせる格好の材料です。特に、子供の間違えた問題は「なぜ間違えたのか」「どうすれば正解へたどり着けたのか」など、考える材料がたくさん詰まっています。間違いにはネガティブな印象があるかもしれませんが、テストという言葉の通り試行錯誤によって子供の知識や能力を伸ばすポイントとなります。子供にも、間違いに対して冷静に対処できるような接し方をしてあげてください。

なお、中学受験を目指す場合は5年生である程度志望校を決め、6年生にかけて志望校対策を含めた本格的な受験勉強を続けることになります。宿題を含め、質量ともに勉強の負担が増えますので、毎日の過ごし方の見直しを含めた管理が求められます。子供の体力・精神両面を支えてください。勉強面から言うと、復習の徹底が最も重要です。必ず弱点科目や単元が出てくるものですが、実践演習が増加する6年生の夏頃までには克服するようにしましょう。

子供が勉強で成果を出すために親ができること

受験勉強のみならず、勉強全般で親御さんのサポートは欠かせません。特に小学生のうちは、保護者の働きかけが重要です。

勉強に集中できる環境づくりをする

子供によって、集中できる場所は異なります。リビングで親の目があると落ち着くという子もいれば、自分の部屋の方が集中できるという子もいます。また、高学年になると反抗期が始まって「親に勉強しているところを見られたくない」と考える子も出てきます。子供と話し合って、メインの勉強場所を決めるようにしましょう。

子供によりますが、音楽や生活音の聞こえる環境の方が集中できるケースもあります。現状の学習スペースで集中力に欠ける、学習習慣が身に付かないということであれば、環境を変えることを考えましょう。塾通いしている場合は、塾でも自習スペースを設けているところが多いはずなので、利用を考えてもよいでしょう。

達成感を持たせる

自己肯定感と達成感が、子供の勉強にはきわめて重要です。結果だけではなく、「これだけ頑張ったらこういうことができた」というプロセスと結果とのつながりが大切です。このつながりを実感できると、子供のモチベーションアップと勉強の習慣化がしやすいです。

結果(点数の変化)は子供にも見えやすいですから、保護者としてはむしろ見えにくい部分=プロセスを評価してあげましょう。丸つけをする、「ごほうびシール」のような評価の仕組みを取り入れるなどの方法が考えられます。

また解き終わったプリントや教材などを保管すると、後から勉強した内容を振り返りやすくなります。こうした紙類を整理できず、ぐちゃぐちゃにしてしまう子供は多いものです。場合によっては、保護者が一緒に整理整頓するのもよいでしょう。

小学校時代に身に付けた勉強法は一生もの

小学生の段階で最も重要なのは、勉強法や習慣の基盤を身に付けることです。確かに学校や塾で習ったことを大人になってから忘れてしまいがちですが、その段階で身に付けた方法論や習慣は一生本人を助けます。

その意味で、「コツコツ勉強できること」「時間を決めて集中できること」「課題を自分で分析し、対策を取れること」などができるようにサポートするのが、保護者として最もするべきことと言えるでしょう。ぜひ子供の学習習慣の習得を助けてあげてください。

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