中学校のプログラミング教育の現状と子供の学習環境作りのポイント

プログラミングコード表示されているノートパソコン

子供たちに提供するプログラミング教育の重要性が叫ばれています。2020年からは小学校でのプログラミング教育必修化が予定されていますが、現状でも中学校でのプログラミング教育が行われています。こちらでは、中学校のプログラミング教育の現状や、子供たちがプログラミングを学習しやすい環境作りのポイントについてお話します。

中学校のプログラミング教育の現状と目的

現状で実施されている中学校でのプログラミング教育とその目的についてお伝えします。

中学校のプログラミング教育の現状

中学校では小学校に先立ち、2012年度から技術・家庭科の授業でプログラミングの内容が追加されています。従来の技術・家庭科の内容も同じ時間で取り扱われるため、プログラミングに割かれる時間は多くはありませんが、簡単なプログラム作成を目標にした授業が行われるようです。

また、ネットワークやセキュリティ管理など、ITリテラシーに係る内容もこの授業の一環です。付随して無線LANの接続方法やファイル取り扱い上の注意点など、インターネットの基本的な利用方法についても触れられます。

中学校でプログラミング教育を行う目的

上述したような中学校におけるプログラミング教育の代表的な目的は以下のようなものです。

コンピュータを利用した計測や制御の仕組みを学ぶ

中学校におけるプログラミング教育の重要なポイントは、「プログラム」という仕組み自体を知ることです。身近な機器の多くがプログラミングによって制御されており、その考え方がひらめきや創造力を養うということを教えていきます。ここで言う制御とは「目的のために必要な操作を加えていくこと」を意味します。

情報処理の手順を知り簡単なプログラムを作成できるようになる

ひとつ、または複数の条件をもとにした具体的なプログラムの作成も学びます。中学校のプログラミング教育の段階では、複雑性に富んだプログラムの作成よりも、論理的な情報処理の手順を簡単なプログラムで知ることが重要です。

プログラミングを学ぶ層を広げることで優秀なIT技術者を増やす

当然ながら、中学校のプログラミング教育だけでIT業界で求められる知識を身に着けるのは不可能です。IT業界で活躍する人材になるためには、高校・大学でも継続的なプログラミング学習が必要となります。そのため中学校のプログラミング教育では、プログラミングに興味を持つ層の拡大を目指しています。小中学生など早い段階でプログラムの概念を理解し、学習を開始すれば、未来のIT技術者が増えるかもしれません。

プログラミング教育の課題

日本の教育現場におけるプログラミング教育は始まったばかりであり、多くの課題が残されています。現在、問題視されているポイントについてお話します。

機器、通信環境の整備

プログラミング教育を教科書や教師によるガイダンスのみで行うのは現実的ではありません。実際にプログラムを組むためのパソコンが必要であるほか、効率的に授業を行うためにはタブレットや電子黒板など、ほかにも求められる設備があります。しかし現状では、多くの中学校ではこうした環境の整備が十分ではありません。最も基本的な設備と言える無線LANの環境も、学校によっては整っていないようです。

プログラミングを指導する教員の不足

プログラミングは比較的新しい教育分野であるため、十分な知識を持つ教員の拡充が追いついていません。中学校でプログラミングを教える人材の確保が急がれていますが、情報系を専攻している学生の進路としてはIT業界が中心であり、教育現場は進路として一般的ではないようです。この問題を解消するため、現状では外部の民間企業にプログラミング教育を依頼するといった対応がとられています。

情報リテラシーの指導

インターネットは便利なだけでなく、危険な側面も有しています。判断能力がない子供が利用すると、犯罪や詐欺、有害サイトなど、危険に巻き込まれる可能性も否定できません。同時に、こうした情報リテラシーはデリケートな問題であり指導が難しい分野です。有害サイトにアクセスできない設定や、閲覧できるページが制限されている子供向けパソコンの使用など工夫が必要になるでしょう。

子供のプログラミング教育のためにできること

ご家庭において子供のプログラミング教育のためにできることの例をご紹介しましょう。

プログラミングに親しめる環境を作る

プログラミング教育の充実が急がれている現在、子供でも利用できるプログラミング学習のサービスや教材が多く流通しています。子供向けのものは、複雑なプログラミングよりも概念の理解や興味を育てることに重きが置かれています。これらを利用し、子供がプログラミングに親しめる環境を作ることが大切です。

環境を整えるためには、まず子供が使えるパソコンを用意しましょう。多くのプログラミング学習アプリがWeb上で手に入ります。子供用のものはゲーム感覚で楽しみながらプログラムを構築できる仕組みになっていますので、お子様と一緒に体験するのもおすすめです。

また、簡単なプログラムでロボットを動かす教材もあります。自分の作ったプログラムによって実際にロボットが動くという経験は、子供たちにとって刺激的なものになるでしょう。

プログラミング教室に通わせる

小学校での必修化、IT人材の不足といった現状を受け、親世代の意識も少し変わっているようです。2017年の「子供にさせたい習い事ランキング」では「プログラミング」が1位なりました。このニーズにより、多くの子供向けプログラミング教室が開校されています。コンスタントに講義を実施している教室もありますが、夏休み期間など、長期休みに合わせて開講する教室も少なくありません。

プログラミング教室の授業内容

学校での教育が十分とは言えない現在、プログラミングへの理解度は子供によって差異があります。そのため、子供の学習進度によって複数のコースを設けている教室が多いようです。内容はロボットを動かすプログラミングやゲームプログラミングなど、子供が興味を持って取り組める内容が中心となっています。子供たちが作成したプログラムを発表しあうイベントも定期的に開催されているようです。

プログラミング教室の効果

実際にプログラミング教室に子供を通わせている親たちからは、「プログラミングに触れることで子供の論理的思考力や問題解決能力が向上した」という声が寄せられています。こうした能力は将来プログラマーにならないとしても活用できるため、親たちからは喜ばれているようです。

また、同じようにプログラミングを学びに来る子供たちとの出会いや、インターネットを介した国内外との交流が刺激になっているという声もあります。子供たちのコミュニケーション能力が育つほか、アイデアの交換により子供の独創性が向上することも多いようです。

中学生からプログラミングの学習を始めても早すぎることはない

2020年には小学校でのプログラミング教育必修化が予定されています。一方で、IT教育の先進国と比較すると日本のIT教育は若干ながら後れをとっている状況です。中学生からプログラミング教育を本格化しても早すぎるということはありません。お子様にIT業界での活躍を望んでいる方や、それ以外の業界でも役立つ論理的思考力や問題解決能力を育みたい方はプログラミング教育の実施をご検討ください。

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